【建築士試験】4つの高さ制限を図解|道路斜線・隣地斜線・北側斜線・日影規制【2026年版】
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建物の高さを抑える4つの規定、道路斜線・隣地斜線・北側斜線・日影規制を、同じ3つの問いで並べて整理します。2020年の動画のアップデート版で、図を作り直し、前回まちがえていた「2以上の前面道路」の計算も正しく直しました。
動画でも解説しています。
この記事でわかること
- 4つの高さ制限を3つの問いで読む方法
- 用途地域ごとに、どの制限がかかるか
- 取り違えやすいポイントと、天空率の効く範囲
- 数字を入れた計算例
3つの問いで読む

条文を1つずつ覚えようとすると数字が混ざります。そこで、どの制限にも同じ質問をします。
- どこから測るか
- どこから立ち上がり、どの勾配か
- どの用途地域にかかるか
この3つに答えれば、どの制限も形が決まります。
用途地域ごとに、何がかかるか
- 低層住居専用・田園住居:絶対高さ・道路斜線・北側斜線(5m)
- 中高層住居専用:道路斜線・隣地斜線(20m)・北側斜線(10m)
- 第一種・第二種住居・準住居:道路斜線・隣地斜線(20m)
- 商業系・工業系:道路斜線・隣地斜線(31m)
- 日影規制:地方公共団体の条例で指定した区域だけ
ここから、隣地斜線は低層住居専用地域と田園住居地域にはかからないことがわかります。代わりに、法55条の絶対高さ(10mまたは12m)で高さを抑えています。
① 道路斜線
道路斜線とは、前面道路の反対側の境界線から、地面から斜めに立ち上がる線で建物の高さを抑える規定のことです(法56条1項1号)。
- どこから:前面道路の反対側の境界線
- 立ち上がり:0m(地面から)
- 勾配:住居系1.25/商業系・工業系1.5
- 範囲:適用距離まで(別表第3)
4つのうち、適用距離があるのは道路斜線だけです。勾配と適用距離は、用途地域と指定容積率の組み合わせで別表第3に載っています。
後退緩和

建物を道路境界線から後退させると、後退した距離と同じだけ斜線の起点も外側に移ります。これが後退緩和です。後退距離は、建物のすべての部分で測ったいちばん短い距離です。1か所でも前に出ていれば、そこで決まります。
計算例:住居系・道路4m・後退距離1m
- 距離 = 1 + 4 + 1 = 6m
- 1.25 × 6 = 7.5m(緩和なしなら距離5mで6.25m)
1m下げるだけで、1m以上高くできます。
2以上の前面道路(令132条)
計算例:幅5mと4mの道路に接する・後退距離1m・A点は4mの道路の境界線から2m
令132条により、広いほうの道路の境界線から幅員の2倍(10m)以内かつ35m以内の区域では、狭い道路も広い道路と同じ幅があるものとみなします。
- 4mの道路も5mとみなす
- 距離 = 1 + 5 + 2 = 8m
- 1.25 × 8 = 10m
前回の動画では4mのまま距離7mと計算していましたが、これはまちがいでした。
高低差(令135条の2)
計算例:敷地が道路より1.2m高い
- (1.2 − 1)÷ 2 = 0.1m
- 道路面を0.1m高い位置にあるとみなす
1mを引くのが先、2で割るのはあと。この順番をまちがえないようにします。
② 隣地斜線
隣地斜線とは、隣地境界線から、一定の高さで立ち上がる斜線で建物の高さを抑える規定のことです(法56条1項2号)。
- どこから:隣地境界線
- 立ち上がり:住居系20m/商業系・工業系31m
- 勾配:住居系1.25/商業系・工業系2.5
高さ20m以下の建物には、隣地斜線はほとんど効きません。

隣地斜線にも後退緩和がありますが、測る部分が道路斜線と違います。数えるのは、高さ20m(または31m)を超える部分から隣地境界線までの距離です。低い部分が境界近くまで出ていても、上の部分を下げていれば緩和が効きます。
計算例:A点が隣地境界線から10m
- 住居系:20 + 1.25 × 10 = 32.5m
- 商業系・工業系:31 + 2.5 × 10 = 56m
③ 北側斜線
北側斜線とは、真北方向の境界線から、一定の高さで立ち上がる斜線で、住居専用の地域の日当たりを守る規定のことです(法56条1項3号)。
- どこから:真北方向の隣地境界線(北側が道路なら道路の反対側の境界線)
- 立ち上がり:低層住居専用・田園住居5m/中高層住居専用10m
- 勾配:1.25
- かかる地域:住居専用系と田園住居だけ

勾配は同じで、立ち上がりの高さだけが違います。北側斜線には後退緩和がありません。
計算例:第一種低層住居専用地域
- 北側が隣地・A点まで2m:5 + 1.25 × 2 = 7.5m
- 北側が道路4m・A点まで2m:距離 4 + 2 = 6m → 5 + 1.25 × 6 = 12.5m(中高層なら17.5m)
取り違えやすい2つ
- 第一種住居地域には、北側斜線はかからない。「住居」と名のつく地域すべてではなく、住居専用の地域と田園住居地域だけ
- 中高層住居専用地域では、日影規制が指定されると北側斜線が外れる(法56条1項3号のかっこ書き)。低層住居専用地域では、日影規制があっても北側斜線は外れず、両方かかる
④ 日影規制

日影規制とは、建物が周りの土地に落とす影の時間で高さを抑える規定のことで、4つのうちこれだけが斜線ではありません(法56条の2)。
- 冬至の日の午前8時〜午後4時(北海道は午前9時〜午後3時)
- 敷地境界線から5mを超える範囲に、決められた時間以上影を落としてはいけない
- 5m〜10mの範囲と、10mを超える範囲で、許される時間が分かれる
別表第4の読み方
- 低層・田園:軒高7m超か3階以上が対象/測る高さ1.5m
- 中高層・住居系など:高さ10m超が対象/測る高さ4m・6.5m
- 商業・工業・工業専用:別表第4の対象外
- 規制時間の組み合わせと測る高さは、条例で選ぶ
日影規制で押さえること
- 商業地域の建物でも、高さ10m超で対象区域に影を落とせば規制される(法56条の2第4項)
- 同じ敷地に2棟以上あれば、1つの建物とみなす
- 時刻は真太陽時(太陽が真南に来る時刻を正午とする)
- 敷地境界線から5m以内は規制しない
天空率で外せるのは3つだけ
天空率とは、ある位置から空を見上げたときに、空がどれだけ見えるかの割合のことです(法56条7項)。
- 計画建物の天空率 ≧ 適合建築物の天空率なら
- 道路斜線・隣地斜線・北側斜線は適用しない
- 日影規制と絶対高さは外せない
斜線は天空率でクリアできたのに、日影で納まらない、ということが起こります。
まとめ
- 道路斜線:道路の反対側から、0mで立ち上がり 1.25/1.5
- 隣地斜線:隣地境界線から、20m/31mで立ち上がり 1.25/2.5
- 北側斜線:真北の境界線から、5m/10mで立ち上がり 1.25。住居専用系と田園住居だけ
- 日影規制:条例で指定した区域で、5m・10mの範囲の影の時間を制限
- 天空率で外せるのは3つの斜線だけ
出典
この記事は令和8年9月時点の法令をもとにした個人の学習ノートです。道路斜線の数値は別表第3で用途地域と指定容積率から決まり、日影規制の対象区域・規制時間・測る高さは地方公共団体の条例で異なります。試験でも実務でも、必ず法令集と条例の原典をご確認ください。


