一級建築士

【アニメ】非常口のなぞ3つ|緑の人が走る理由・誘導灯の色・扉の開く向き(一級建築士の過去問つき)

【アニメ】非常口のなぞ3つ|緑の人が走る理由・誘導灯の色・扉の開く向き(一級建築士の過去問つき)

映画館の出口の上にある、緑の人。なんで走っているのでしょう。毎日見ているのに、理由は意外と知りません。非常口のなぞを3つ解きます。答えは、どれも法律で決まっていて、一級建築士の試験にも出ます。

アニメでも解説しています。

なぞ1:緑の人は、なぜ走っている?

昔の非常口の看板は、「非常口」と漢字3文字が書いてあるだけでした。

1972年に大阪のデパートで、翌1973年には熊本のデパートで火事があり、亡くなった人は大阪で118人、熊本で104人にのぼりました。煙の中では細い文字の看板が見えにくく、国会でも問題になります。しかも「常」は小学5年で習う漢字で、小さい子や日本語を読めない人には伝わりません。

そこで、文字ではなく絵で伝えることになりました。

  • 全国から集まった案は3,000を超えた
  • 煙ごしに見せたり、一瞬だけ光らせたりする実験で、いちばん伝わる形を選んだ
  • 選ばれた案を、デザイナーの太田幸夫さんたちが仕上げた
  • 1982年、今のマークが国の基準になり、その後国際規格にもなった

絵をよく見ると、白い四角は扉、人は部屋の中から扉の外へ走り出ている姿です。「ここから外へ逃げられる」を、文字なしで一瞬で伝える絵なのです。

なぞ2:なぜ緑? 白い看板もあるのはなぜ?

誘導灯の地の色は、消防庁の告示で決まっています。

  • 緑の地に白い人=避難口誘導灯:「ここが出口」。出口の上か、すぐ近くに付ける
  • 白の地に緑の矢印=通路誘導灯:「出口はこっち」。廊下の曲がり角などに付ける

駅でいえば、ゴールの改札と、「改札はこっち」の矢印の関係です。

緑なのは、赤の使い道がもう決まっているからです。JISの安全色では、赤は防火・禁止(消火器や消火栓の色)、緑は安全・進行(非常口の位置と向きを示す色)。火事のとき、赤は「消す道具」、緑は「逃げる道」と、色だけで迷わないようにしてあります。

A級・B級・C級は「大きさ」の区分

誘導灯には、表示面の縦の大きさと明るさによる区分があります(消防法施行規則28条の3)。

  • A級:縦40cm以上
  • B級:縦20cm以上
  • C級:縦10cm以上

大きいほど遠くまで受け持てます。矢印のないA級の避難口誘導灯なら、歩いて60mまでです。

光り方のルール

  • 誘導灯は、常に決められた明るさで点けておくのが原則
  • 停電しても、中の電池で光り続ける。容量は20分以上(とても大きな建物や地下の駅などでは60分以上の場所もある)
  • 無人のときや暗さが必要な場所などは、火事の感知器と連動してすぐ点く仕組みがあれば消しておける

点滅したり声で出口を知らせたりする誘導灯は、感知器が火事を見つけたら動き出します。そして、逃げる方向の感知器が反応したら、その出口の点滅と声は止まるように決まっています。火の中へ呼んでしまわないためです。

まぎらわしい明かりや広告は、誘導灯のそばに置けません。誘導灯の横に別の案内を光らせるときも、その地の色に、決められた緑と赤は使えません。

なぞ3:非常口の扉は、どっちに開く?

映画館で火事が起き、何百人もが出口へ押し寄せたとします。扉が内開きだと、後ろから押される力で扉が閉じたままになり、手前に引けません。外開きなら、押すだけで開いていきます。

  • 令118条:劇場・映画館・集会場などの、客席からの出口の戸は、内開きとしてはならない
  • 令125条2項:同じ建物の、客用の屋外への出口の戸も、内開きとしてはならない
  • 令123条1項六号:避難階段に通じる出入口の戸は、避難の方向に開く。直接手で開けられ、自動的に閉まる防火の戸で、人が通ったあとは閉まって煙を階段に入れない

逃げる人の進む向きに開く、という考え方は全部同じです。なお、内開き禁止の2つの条文は劇場や集会場などの決まった建物だけで、家の玄関まで外開きと決まっているわけではありません。

一級建築士の過去問では

  • 平成25年:廊下で避難の方向を示す誘導灯は、通路誘導灯 → 正しい
  • 令和7年:避難口誘導灯のA・B・C級は、停電時に光っていられる時間で分けている → 誤り(縦の大きさと明るさの区分)
  • 平成26年:無人の場所の避難口誘導灯は、感知器と連動して点くなどの措置があれば消灯できる → 正しい
  • 平成27年:平屋の劇場で客席が150m²でも、客席からの出口の戸と屋外への出口の戸は内開き不可 → 正しい(条文に広さの条件はない)
  • 令和6年:集会場の、客用の屋外への出口の戸を内開きとしない → 正しい

まとめ

  • 走る人は、部屋から扉の外へ逃げる姿。煙ごしでも、文字が読めなくても伝わる形として実験で選ばれた
  • 緑の地は「ここが出口」、白の地は「出口はこっち」。赤は消す道具、緑は逃げる道
  • A級・B級・C級は、縦の大きさと明るさで分ける
  • 劇場や集会場の、客席からの出口と屋外への出口は内開き禁止

出典

この記事は公表資料をもとにした個人の学習ノートです。問題文は要約しています。正確な内容は必ず原典をご確認ください。