【一級建築士 製図】防火区画で一発で落ちない|竪穴・異種用途・面積区画の描き方と、エスキスで色ペンを通す手順
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一級建築士・設計製図の試験(令和8年10月11日・課題「ホテル」)の直前に、防火区画に絞って整理した回の記事版です。時間内に全部描けても、一発で不合格になるミスがあります。それが防火区画です。
動画でも解説しています。
全部描けても、区画1か所で落ちる
階段のまわりの壁が1か所つながっていない。シャッターが区画の線からずれている。ランクIVの型のひとつが「法令への重大な不適合」で、防火や避難はここに含まれます。プランがどんなに良くても、です。防火区画のミスは、手順で防げます。
3つの防火区画

防火区画とは、火や煙が広がらないように、建物を壁や床、防火設備で仕切ることです。船の中を水密の壁で小部屋に分けておけば、1か所に穴があいても沈まないのと同じ考え方です。試験で考えるのは3つです。
- 竪穴区画(赤):縦の穴を囲う
- 異種用途区画(青):用途の違いで分ける
- 面積区画(緑):広さで区切る
1枚の壁が竪穴と異種用途を同時に兼ねることはよくあるので、3つを別々に考えないのがコツです。
竪穴区画:縦の穴を囲う
竪穴区画は、次の2つを両方満たすときにかかります。
- 主要構造部が準耐火構造(耐火建築物を含む)
- 地階または3階以上の階に居室がある
主要構造部とは、柱・はり・床・壁など建物を支える主な部分のことです。ホテルの課題で客室が3階以上にあれば、まず対象になると考えます。

対象は、階段・吹抜け・エレベーターの昇降路・パイプシャフトやダクトスペースといった縦の穴です。図面の合言葉は「閉じた輪」。赤い線が途中で切れずにぐるりと一周しているかを見ます。
開口部は「煙で閉じる」
- 防火設備に遮煙性能が必要
- 常時閉鎖か、煙感知器連動で閉まるもの
- 熱で閉じる温度ヒューズ式は使えない
- 上下階で同じ位置・同じ形に揃える
竪穴区画は煙を止めるための区画なので、熱ではなく煙で閉じる、と覚えると迷いません。
ホテルで拾い出す竪穴
- 客室階をつなぐ直通階段(2つ以上)
- エレベーターの昇降路(客用・サービス用)
- ロビーやレストランの吹抜け
- PS・DS・EPS、リネンシュートなどのシャフト
エスキスの段階でこの一覧を紙の端に書き出し、1つずつ赤で囲むと漏れがなくなります。見落としやすいのが設備のシャフトです。階段とエレベーターだけ囲んでシャフトを忘れるのは、本当にもったいない減点です。避難階のすぐ上や下だけに通じる吹抜けなどには緩和もありますが、条件は細かいので課題文と法令集で確かめます。
異種用途区画:用途の境目

異種用途区画とは、使い方の違う部分どうしを仕切る区画のことです。1階に店舗やレストラン、2階から上に客室が入るホテルなら、その境目に青い線を通します。
- 壁と床は、1時間の耐火性能をもつ準耐火構造
- 開口部は特定防火設備(1時間の火に耐える、ランクの高い防火戸やシャッター)
- 区画が必要かどうかは用途と規模で決まるので、課題文の条件を必ず確かめる
共用部は「どちら側か」を先に決める
エントランスやエレベーターホールをどちらの用途に入れるかを決めずに進めると、青い線が蛇行し、防火戸やシャッターが増えて、避難経路まで複雑になります。共用部の帰属を先に決めて、そこを軸に線を引きます。竪穴の防火設備と異種用途の特定防火設備は、凡例で記号を書き分けます。
面積区画:広さで区切る

耐火建築物や準耐火建築物では、床面積1,500m²以内ごとに、準耐火構造の床や壁と特定防火設備で区画するのが基本です。スプリンクラー設備などを設けた部分は、床面積の2分の1を除いて計算できます(スプリンクラーのある1,000m²は500m²分だけ数える)。緩和を使うなら、どこに設けたかを図面や記述で示します。
面積表で確かめる
- 1つの階の床面積が1,500m²を超えるか
- 吹抜けなどで上下階がつながる部分は合わせて数える
- 超えるなら、区画の線と特定防火設備を描く
試験の規模なら1フロアで超えることは多くありません。だからこそ、吹抜けでつないだときの合計を確かめます。
面積が足りても、竪穴は消えません。面積区画がいらなくても、竪穴区画と異種用途区画はなくなりません。3つはそれぞれ別のチェック項目です。
エスキスで崩れる3パターン
① 階段と吹抜けが近い

階段と吹抜けをまとめて囲もうとして、廊下側に線を通せる場所がなくなり、輪が開いてしまうのがよくある失敗です。階段室を独立した輪にして、吹抜けとの間に壁を1枚入れます。近づけるなら壁1枚で仕切れる位置関係を先に確保し、無理ならいっそ離します。
② シャッターの位置

シャッターは区画の線の上に置いてはじめて意味を持ちます。確認は3つです。
- 区画の線の上にあるか
- 柱の真ん中にかかっていないか
- 避難の通路にかかる場合、閉じても避難の邪魔にならないか(くぐり戸か防火戸が描かれているか)
遮煙性能がいる竪穴区画の出入口は、シャッターより扉で計画しておくほうが無難です。シャッターは後から足さず、区画の線と一緒にエスキスの最初から織り込みます。
③ エレベーターホールが開きっぱなし
- 乗り場の扉だけでは煙を止めきれないことがある
- そこでEVホールごと防火戸で囲む計画が多い
- ロビー吹抜けとEVホールが一体だと、防火戸を置く場所がなく輪が作れない
- EVホールは、ロビーから防火戸1枚で切れる位置に置く
色ペンで区画の線を通す5ステップ

- 赤で、竪穴を閉じた輪にする(階段・エレベーター・シャフト・吹抜け)
- 共用部の帰属を決めてから、青で用途の境目を通す
- 緑で、面積を確かめる
- 線と線の切れ目(開口部)に、防火設備の印を付ける
- 上下階のエスキスを重ねて、輪の位置が揃っているかを見る
この作業は、エスキスを確定させる直前の5分で行います。作図に入ってから区画の穴に気づくと消しゴムで大きく直すことになりますが、エスキスで見つければ線を1本動かすだけで済みます。最後の確認は、ペン先を紙から離さずに区画の線を一周なぞれるか。途中でペンを持ち上げたところが、区画の穴です。
作図の最終チェック7項目

合言葉は「描き忘れは、ないのと同じ」です。
- 竪穴の輪が、全階で閉じているか
- 異種用途の境目が、平面図と断面図で合っているか
- 区画の線の種類と太さが、凡例のとおりか
- 開口部ごとに、防火設備の記号を描いたか
- 引き出し線で「竪穴区画」「特定防火設備」などと書き込んだか
- 凡例に、使った記号がすべて載っているか
- 断面図で、床の区画が表れているか
いちばん忘れやすいのが断面図です。採点者は平面図と断面図を見比べます。
計画の要点の書き方

型は「区画の種類 + 場所と方法 + 目的」です。
- 階段とエレベーターの昇降路は竪穴区画とし、遮煙性能のある防火設備で区画して、煙が上の階へ広がるのを防いだ
- 店舗部分と宿泊部分は異種用途区画とし、特定防火設備で区画して、宿泊客の避難の安全を確保した
- 客室階は2つの直通階段を廊下の両端に置き、竪穴区画として、どの客室からも2方向に避難できるようにした
入れたいキーワードは次のとおりです。
- 区画:竪穴区画/異種用途区画/面積区画
- 目的:延焼防止/煙の拡散防止/避難の安全
- 設備:特定防火設備/遮煙性能/スプリンクラー
- 避難:2方向避難/避難経路の明確化
ひとつだけ絶対のルールがあります。図面に描いていないことは書かない。書いたことは必ず図面にある。
まとめ:直前セルフチェック5か条
- 竪穴は全階で「閉じた輪」、開口は煙で閉じる
- 異種用途は、共用部の帰属から決める
- 面積区画の緩和は、範囲を図面に示す
- シャッターは区画の線の上。避難の邪魔にしない
- 図面と記述をそろえる
出典
この記事は個人の学習ノートです。図は模式図で、寸法は正確ではありません。色ペンの手順・チェックリスト・記述の型は筆者の目安で、公式の基準ではありません。区画の要否や仕様は、課題文の条件と法令集(原典)で必ずご確認ください。


