【一級建築士 学科Ⅱ】音響・遮音|14年28問、誤りの半分は「逆」にしただけ(アニメ)
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一級建築士・学科Ⅱ(環境・設備)の音の問題は、毎年2問。平成25年〜令和8年の14年で28問しか出ていません。そのうち誤りの肢は26、さらにその半分以上の14は、向きを逆にしただけでした。低音と高音、高くなると低くなる、厚くと薄く。そこを入れ替えてあります。向きさえ覚えれば、半分は解けます。
アニメでも解説しています。
デシベル:2倍で3、10倍で10

デシベルとは、音の大きさを、エネルギーの比の対数で表す単位のことです。覚えるのはひとつだけ。エネルギー10倍で10dB上がる。
- 2倍で +3dB(同じスピーカーを2台にしても、3dB上がるだけ)
- 4倍で +6dB
- 1/100で −20dB、1/1000で −30dB
デシベルの計算の肢は14年で8つあり、8つすべて正しい肢でした。計算の肢は合っている前提で、ほかを疑えばよいのです。
距離:点は6、線は3、面は0

点の音源は、音がボールのように広がります。距離が2倍になると広がる面積は4倍、だから6dB下がる。

交通量の多い道路のような線の音源は、音が筒のように広がり、距離2倍で面積2倍、だから3dB。果てしなく大きい面の音源は、距離で減りません。
平成27年の「点音源の1mと2mの差は3dB」は、線音源の数字とすり替えた誤りの肢です。
屋外:高い音ほど、よく減る

屋外では空気そのものが少しずつ音を吸います。遠くで弱くなるのは高い音です。細かく揺れる分、空気に食われます。遠くの花火は、ドーンという低い音だけ届きます。
「空気の吸収は低音ほど大きい」という肢は14年で3回出て、3回とも誤りでした。

防音塀も同じ向きです。低い音は波が大きいので塀の上を回りこみ、高い音は回りこみにくい。だから塀は高い音に効きます。令和6年の「回折による減衰は低音域のほうが大きい」は誤りです。生け垣や並木で大きな物理的効果が得られる、という令和5年の肢も誤りでした。
吸音:はね返らなかった分

壁に当たった音は、はね返る・壁の中で消える・向こうへ抜ける、の3つに分かれます。吸音率とは、はね返らなかった分の割合のことで、向こうへ抜けた音も含みます。だから、開け放した窓の吸音率は1です。
- 平成30年「壁の中に吸収される分だけ」→ 誤り
- 令和8年「遮音の高い壁は吸音も高い」→ 誤り。コンクリートの壁はよく音を止めるが、よくはね返す。遮音と吸音は別の性能

グラスウールのようなすき間だらけの材料(多孔質材)は、厚くすると低い音まで吸えるようになります。14年で4回出て、4回とも正しい肢です。

逆に、表面を空気の通りにくい材料でふさぐと、高い音がはね返されて吸えなくなります。スポンジにラップを巻いた感じです。平成29年の「塗装しても影響しない」は誤りです。
遮音:向こうへ通さない力

質量則とは、1枚の壁は重いほど音を止める、という性質のことです。重さ(面密度)を2倍にすると、透過損失は約6dB増えます。平成25年の「厚さ2倍で約3dB」は誤りです。

二重壁では、2枚の壁がおもり、あいだの空気がばねになり、ある高さの音でばねごと揺れて音が抜けやすくなります。空気層を厚くすると、ばねがやわらかくなり(ゆるいトランポリン)、共振周波数は低くなります。「空気層を厚く→共振周波数が高く」は平成26年・令和3年に出て、2回とも誤りでした。

コインシデンス効果とは、薄い板が、ある高さの音で波打ち、音の波と板の揺れがそろって音が抜ける現象のことです。板を薄くすると、波打つ音は高いほうへ移ります。平成28年の「低い周波数へ広がる」は誤りです。だから、6mmのガラスが3mmよりいつも強いとは限りません。
部屋の中:残響時間

残響時間とは、音が止まってから消えるまでの時間のことです。セイビンの式では、残響時間は容積に比例し、吸音力に反比例します。吸音力は、表面積に平均吸音率をかけたものです。

令和5年の計算問題も、容積を吸音力で割って比べるだけでいい。答えは C>A>B。0.161はかけなくて構いません。
- 吸音力を2倍にすると、室内の音は約3dB下がる(3回とも正しい肢)
- 普通教室は、平均吸音率0.2くらいを目安に吸音する(3回とも正しい肢)

ひっかけが「天井の高さを半分にすると残響時間も半分」。容積は半分でも、床と天井の面積は変わらないので、立方体の部屋なら0.75倍です。令和7年は誤りの肢でした。
耳:隠されるのは、隠す音より高い音

マスキングとは、大きな音があるとほかの音が聞こえにくくなる現象のことです。低い大きな音は、高いほうへ長いすそを引くので、隠す音より高い音が隠されやすい。この向きは14年で4回出て、令和元年・令和8年は逆にして誤りでした。

耳がいちばん敏感なのは3〜4kHzあたりです。令和3年の「10kHz付近」は誤りです。
まとめ
- デシベルは、2倍で3、10倍で10(計算の肢は8つとも正しい)
- 距離2倍で、点は6、線は3、面は0
- 空気の吸収と防音塀は、高い音ほどよく効く
- 吸音材を厚くすると、低い音まで吸える
- 二重壁の空気層を厚くすると、揺れやすい音は低いほうへ
- マスキングでは、隠す音より高い音が隠れる
問題を読んだら、まず「高い・低い」に印をつけ、向きが合っているかを確かめるだけです。
出典
- 一級建築士試験 過去の試験問題等(平成29年〜令和8年の学科Ⅱ・正答)|建築技術教育普及センター(平成25〜28年は、センターが当時公表した問題・正答表のPDFで確認)
この記事は公表資料をもとにした個人の学習ノートです。問題文は要約したもので、分類は筆者によるものです。正確な内容は必ず原典をご確認ください。


