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【建築ニュース】一級建築士2名に業務停止処分/能登半島地震の被害調査報告|9月の公式発表まとめ

【建築ニュース】一級建築士2名に業務停止処分/能登半島地震の被害調査報告|9月の公式発表まとめ

建築ニュースを、公式の発表だけをもとにまとめます(令和8年9月2日〜25日の公表分)。取り上げるのは、国土交通省が公表した一級建築士の懲戒処分と、国総研・建築研究所が公開した能登半島地震の建築物被害調査報告の2本です。

動画でも解説しています。

なお、建築物の事故については、この期間に原因が公式に発表されたものを確認できなかったため、取り上げていません。

① 一級建築士2名に業務停止処分(9月2日公表)

国土交通省は9月2日、一級建築士2名に対する懲戒処分を公表しました。

  • 建築士法第10条にもとづく処分(8月26日付)
  • 中央建築士審査会の同意を得て実施
  • 処分はどちらも業務停止、理由はどちらも設計が建築基準法令に違反していたこと

公表資料には氏名や会社名も載っていますが、この記事では違反の中身に絞ります。

1件目:業務停止1か月(福島県内の建築物)

令和9年3月1日から業務停止1か月です。

  • 建築基準法第25条:延べ面積1,000m²を超える木造建築物は、延焼のおそれのある部分の外壁と軒裏を防火構造にしなければならない。レストラン棟の外壁で、延焼のおそれのある部分が防火構造ではない設計だった
  • 施行令第128条の2:同一敷地内に2以上の建築物があり、延べ面積の合計が1,000m²を超える場合は、1,000m²以内ごとに区画し、その周囲に幅3m以上の通路を設けなければならない。この通路を設けない設計だった(施行令は令和7年の改正前の規定が適用)

防火構造とは、建物の周囲で起きた火災から外壁や軒裏が燃え抜けないよう、一定の防火性能をもたせた構造のことです。

2件目:業務停止14日(京都府内の建築物)

令和9年3月1日から業務停止14日です。

  • 京都市建築基準条例第32条(建築基準法第40条・第43条第3項にもとづく条例の規定)
  • 都市計画区域内では、交差点の側端から7m以内の道路に接する場所に、自動車車庫などの出入口を設けてはならない(別に定める基準に適合すれば5m以内)
  • この規定に適合しない設計をした

設計者が押さえる点(筆者の整理)

  • 敷地内の建物が複数なら、面積の合計で規定を確認する
  • 木造は延べ面積1,000m²を境に規定が変わる
  • 全国共通の法律に加え、自治体の条例も必ず確認する
  • 条例は自治体ごとに違う(出入口の位置など)

② 能登半島地震の建築物被害調査報告(9月25日公開)

国土技術政策総合研究所(国総研)と建築研究所が、『令和6年能登半島地震建築物被害調査等報告』(国総研資料第1356号)を公開しました。令和6年10月の速報以降の検討内容で、次の4部構成です。

  • 木造建築物の詳細分析
  • RC造建築物の転倒などの被害
  • 建築設備の被害
  • 火災による被害

木造:2007年の地震との比較

同じ地域で、2007年の能登半島地震と2024年の被害を比べています。

  • どちらの地震でも、旧耐震基準の木造住宅の被害が多い傾向
  • 2024年は、大破以上の棟数が2007年の約2倍
  • 追跡調査:輪島市鳳至町で、2007年に半壊以上だった164棟のうち63棟(38%)は、2024年は無被害か一部損壊。建て替えや補修が行われた建物の一部では、被害が小さかったとまとめられている

旧耐震基準とは、1981年(昭和56年)6月より前の耐震基準のことです。

火災:輪島市の焼失区域は約50,800m²

  • 令和6年1月4日の現地調査では、焼失区域の面積が約50,800m²、区域内の建物は約300棟と推定
  • 総務省消防庁の報告では、焼失面積は約49,000m²、焼損棟数は約240棟
  • 数字の違いは、区域の面積と、焼けた建物の床面積という調べ方の違いによる

最終的な被害の規模は消防が確定するものです。

まとめ

  • 一級建築士2名に業務停止処分。理由は、防火構造・敷地内の通路・条例という設計段階の法令違反
  • 能登半島地震の報告では、旧耐震の木造に被害が多く、大破以上は2007年の約2倍
  • 輪島市の火災の規模は、調べ方によって約50,800m²(区域)/約49,000m²(焼失面積)

出典

この記事は公式の発表の内容をまとめたものです。懲戒処分は公表された時点の内容で、その後の不服申立てなどで変わる場合があります。「設計者が押さえる点」は筆者の整理で、公式の見解ではありません。