法改正

【11月1日施行】建築基準法施行令の改正を図解|4つの合理化と「告示待ち」の意味

【11月1日施行】建築基準法施行令の改正を図解|4つの合理化と「告示待ち」の意味

令和8年9月11日に「建築基準法施行令の一部を改正する政令」が閣議決定されました。施行は令和8年11月1日で、公布からわずか1か月半で始まる急ぎの改正です。変わる4か所と、そのうち3か所に共通する「同じかたち」を整理します。

動画でも解説しています。

この記事でわかること

  • 今回の改正で変わる4か所
  • 4か所のうち3か所に共通する「同じかたち」
  • 施行日と、実務で押さえておきたいポイント

ひとことで言うと

今回の改正は、安全は守ったまま、行き過ぎていたルールをゆるめる改正です。変わるのは全部で4か所で、そのうち3か所はまったく同じかたちの見直しになっています。

変わるのはこの4か所

  • ① 型式適合認定に、新しい種類が増える
  • ② 採光:短い時間しかいない部屋を外す
  • ③ 防火・避難:支障がないものを外す
  • ④ 危険物の量:安全なガス設備を外す

①だけ少し性格が違い、②③④が「同じかたち」のグループです。

① 型式適合認定に「構造耐力」が加わる

型式適合認定とは、「この作り方なら建築基準法に合っている」と国があらかじめ認めておく、いわば国のお墨付きのことです。お墨付きがあれば、建築確認のときにその部分をイチから審査しなくてよくなります。

これまで、お墨付きの種類は3つでした。

  • 建物まるごと
  • 建物まるごとから、建築設備を除いたもの
  • 建築設備

ここに、建物の構造の強さ(構造耐力)のお墨付きが追加されます。

背景にあるのは、建築資材が手に入りにくいことです。これまでは、材料をひとつ変えただけでお墨付きが使えなくなることがありました。新しい種類ができると、構造耐力の部分はお墨付きで審査を省略したまま、変えた材料だけを個別に審査すればよくなります。

② 採光:短い時間しかいない部屋を外す

採光規制とは、居室には窓から光が入るようにしなさい、というルールのことです。保育園などの児童福祉施設等もこのルールの対象です。

今回、児童福祉施設等のうち「利用者の滞在時間が短いことなどの理由で、衛生上支障がないもの」を、対象から外せるようになります。どの部屋が外れるのかは、これから告示で決まります。

③ 防火・避難:支障がないものを外す

対象になるのは次の規定です。

  • 令109条の2の2
  • 令112条1項・4項・5項(面積区画)
  • 令112条11項(竪穴区画)

これらの規制の対象のうち、「その構造・用途・周囲の状況から、防火上・避難上支障がないもの」を外せるようになります。具体的な基準は、今後の告示です。

④ 危険物の量:安全なガス設備を外す

用途地域には、危険物をどれだけ置けるかという制限があります。今回、圧縮ガスや可燃性ガスを燃料として使う設備のうち、国土交通大臣が定める安全な基準に合う設備で貯蔵・処理されるガスは、この「危険物」から外されます。

国土交通省は背景として「新たな設備の導入を促進するため」と説明しています。これも基準は告示待ちです。

②③④に共通する「同じかたち」

3つとも、この同じかたち

左が「これまで」で、規制の対象はぜんぶでした。右が「これから」で、規制の対象から「国土交通大臣が定めるもの」だけが外れます。採光、防火・避難、危険物の3つとも、この同じかたちで見直されています。

  • これまで:規制の対象 = ぜんぶ
  • これから:規制の対象 = ぜんぶ - 大臣が定めるもの
  • 何が外れるか = これから出る告示で決まる

ここが実務上いちばん大事なところです。今回の政令は「外せる」という枠をつくっただけで、何が外れるかはまだ決まっていません。

いつから始まるの?

  • 令和8年9月11日:政令の閣議決定
  • 令和8年9月16日:政令の公布
  • 令和8年11月1日:施行

同じ日に閣議決定された改正建築物省エネ法の政令が令和9年4月1日施行なのと比べると、かなり急ぎの日程です。

実務で押さえておきたいこと

  • 施行は令和8年11月1日。準備期間が短いので、条文の動きは早めに押さえる
  • ②③④は、告示が出るまで実際には運用できない。告示の公布時期が当面の焦点
  • ③には竪穴区画(令112条11項)が入っている。竪穴区画は改正の多い規定で、令和元年にも項番号が動いた。「外せるもの」が増えると、これまでの運用の前提が変わる可能性がある
  • ①は資材の調達難という困りごとに直接こたえる改正。該当する型式を使う計画では、扱いが変わることを想定しておく
  • 条文の動きは、国土交通省の発表資料に付いている新旧対照表で確かめるのが確実

まとめ

  • 安全は守ったまま、行き過ぎたルールをゆるめる改正
  • ①型式適合認定に構造耐力の種類が加わる
  • ②③④は「ぜんぶ - 大臣が定めるもの」という同じかたち
  • 何が外れるかは、今後の告示で決まる
  • 施行は令和8年11月1日

出典

この記事は報道発表をもとにした個人の学習ノートです。②③④の具体的な基準は今後の告示で定められます。実務で判断するときは、必ず原典と最新の告示をご確認ください。