【一級建築士 学科Ⅰ】建築設計標準を攻略|No.9は10年連続・11問44肢から覚える数値を絞る
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一級建築士・学科Ⅰ(計画)のNo.9は、平成29年から令和8年まで10年連続で、国土交通省の「建築設計標準」に照らして答える問題でした。10年分・11問・44の選択肢を、令和7年5月版の標準の記述と一つずつ突き合わせて、押さえるべき数値を絞り込みます。
動画でも解説しています。
この記事でわかること
- 建築設計標準は「基準」ではない:3段構え
- 44肢の論点別の出題回数
- 押さえる核:階段・便所・客室・傾斜路・視覚
- 誤りの肢の作り方の型
建築設計標準は「基準」ではない

建築設計標準とは、高齢者や障害者などが円滑に移動できるように、国土交通省が示す設計のガイドラインのことです。正式な名前は「高齢者、障害者等の円滑な移動等に配慮した建築設計標準」で、法令の基準そのものではありません。
令和7年5月版の本編では、階段や便所といった空間ごとに、3つの段で整理されています。
- 基準相当:バリアフリー法の基準に相当する内容
- 誘導基準相当:認定を受けるための、より高い誘導基準に相当する内容
- 標準的な整備内容:基準にはない、標準として示す内容。数値は「程度」で書かれることが多い
試験は3段が混ざった数値を問う
たとえば階段では、有効幅員140cm以上、けあげ16cm以下、踏面30cm以上は、2段目の誘導基準相当です。一方、蹴込み2cm以下は、3段目の標準的な整備内容です。試験では、この3つの段の数値が混ざって出てきます。
なお、令和7年5月の改正で、それまで「望ましい」とされていた記述の多くが、標準的な整備内容へ強化されました。
44肢の出題回数

筆者の分類で数えると、出題回数は次のとおりです。
- 便所・便房:12肢(誤りの肢として3回)
- 階段・手すり:11肢(令和2年は4肢すべてが階段)
- 客室:6肢(宿泊施設の問題で、誤りの肢が2回)
便所と階段だけで23肢、全体の半分を超えます。まずはこの2つから押さえるのが近道です。
押さえる核① 階段・手すり
ここからの数値は、令和7年5月版の標準で確かめたものだけです。

- 手すりの端は、上端で水平に45cm以上延ばす。令和2年は、これを30cmに変えた肢が誤りでした
- 手すりを2本つけるときの高さは、上が75〜85cm程度、下が60〜65cm程度
- 警告用の点状ブロックは、階段の手前30cm程度に敷く。平成29年は「線状ブロックを5cm手前」に変えた肢が誤りでした
階段のそのほかの数値

- けあげは16cm以下、踏面は30cm以上
- 蹴込みは2cm以下
- 段鼻は、踏面との明るさや色の差で見分けられるようにし、始まりから終わりまで全段で統一する

- 有効幅員は140cm以上
- 手すりの幅は、10cmまでなら無いものとして算定できる
押さえる核② 便所・便房
最多の12肢が出ているのが、便所・便房です。

車椅子使用者用便房とは、車椅子のまま使えるように広さや設備を整えた便房のことです。電動車椅子が回転できるよう、直径180cmの円がおさまる広さで、内法は200cm角以上が基本です。
便器の横の壁では、洗浄ボタンは紙巻器の上の方、呼出しボタンは洗浄ボタンと同じ高さで、便器の後ろ側に置きます。

洗面器の鏡は、傾けずに、設置する高さを下げます。座高は人によって違うので、傾けた鏡は使いにくいためです。上の端は、洗面器から100cm以上です。平成29年は、傾斜させた鏡の肢が誤りでした。

自動引き戸のスイッチは、戸から70cm以上離して、高さ100cm程度にします。中に入りきってから押せるようにするためです。令和5年は「戸先の近く」に変えた肢が誤りでした。
便所・便房の核
- 便房:直径180cmの内接円、内法200cm角以上
- 洗浄ボタンは紙巻器の上方、呼出しは同じ高さで後方
- 鏡は傾けず、高さを下げる(上端は洗面器から100cm以上)
- スイッチは戸から70cm以上離す、高さ100cm程度
- オストメイト用・乳幼児用の設備は、一つの便房に集めず分散させる
押さえる核③ 客室・傾斜路

車椅子使用者用の客室では、次の数値を押さえます。
- 出入口の前後に140cm角の水平なスペース
- 浴室の出入口の幅は80cm以上
- 浴室などへの通路が直角に曲がるときは、出入口付近の幅を100cm以上。令和6年は、これを80cmにした肢が誤りでした

傾斜路の勾配とは、高さを水平距離で割った傾きのことで、建築設計標準では12分の1以下です。令和3年は、高さ750mmに対して水平距離8,000mmとした肢が誤りでした。12分の1なら、9,000mm以上必要です。
- 踊場は、高さ75cm以内ごとに、踏幅150cm以上
- 幅は、階段の代わりなら150cm以上、階段と併設なら120cm以上
押さえる核④ 視覚・客席

エレベーターのボタンの点字は、縦に並ぶときは左側、横に並ぶときは上側です。令和元年は「右側」に変えた肢が誤りでした。また、サインは色の違いだけに頼らず、白黒にしても分かるかを確かめます。

劇場などの車椅子使用者用の客席では、同伴者の席を、同じ数以上、隣に設けます。令和8年は「背後に」とした肢が誤りでした。
問題は「出題当時の版」で解く
問題は、出題当時の版の標準に照らして作られています。令和7年の問題は令和3年3月版、令和8年の問題は令和7年5月版と、問題文に書かれていました。
令和8年には、令和7年版で新しく加わった「建築プロジェクトの当事者参画ガイドライン」を使って、計画の初期に利用者と意見交換する、という肢が正しい肢として出ています。改正があった分野は、次の年に狙われやすいと考えておくとよさそうです。
誤りの肢の作り方
11問の誤りの肢を、標準の記述と比べると、ほぼ3つの型に分かれます。
- 数値をずらす(5回):45cm以上を30cmにするなど、しきい値を少しだけ下げる
- 位置・向きを入れ替える(3回):点字の左を右に、同伴者席の隣を背後に
- 手法を取り違える(2回):点状ブロックを線状ブロックに
ですから、覚える数値は「以上」「以下」がついたしきい値に絞れます。
まとめ
- 学科Ⅰの No.9は10年連続で建築設計標準(11問・44肢)
- 標準は基準相当/誘導基準相当/標準的な整備内容の3段
- 便所・便房12肢、階段・手すり11肢が中心
- しきい値:手すりの延長45cm・内接円180cm・勾配12分の1・スイッチは戸から70cm
- 誤りはしきい値を下げる/位置を入れ替えるが中心
一問一答(建築設計標準 ○×34問)でも確かめられます:一問一答の動画
出典
- 高齢者、障害者等の円滑な移動等に配慮した建築設計標準(令和7年5月版)|国土交通省
- 建築設計標準の改正(令和7年5月30日 報道発表)|国土交通省
- 一級建築士試験 過去の試験問題等(平成29年〜令和8年の学科Ⅰ・正答肢)|建築技術教育普及センター
この記事は、公表資料をもとにした個人の学習ノートです。問題文は要約しており、論点の分類は筆者の判断です。数値は、令和7年5月版の建築設計標準の原典で必ずご確認ください。


