【アニメ】一級と二級、何がちがう?|建てられる建物・試験の重さ・合格率・同じ分野の掘り下げ方(令和8年)
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「二級って、一級のかんたん版ですよね?」――半分正解で、半分まちがいです。一級建築士と二級建築士のちがいは、大きく3つあります。設計できる建物の大きさ、試験の重さ、そして合格率です。試験の数字は令和8年(2026年)、総合の合格率は製図まで終わった最新の令和7年で比べます。
アニメでも解説しています。
① 設計できる建物:一級には上限がない
一級建築士でなければ設計・工事監理できない建物は、建築士法第3条で決まっています。工事監理とは、図面どおりに工事されているかを建築士が確かめる仕事のことです。一級だけの建物は4つのグループです。
- 学校・病院・劇場・映画館・百貨店など、人がたくさん集まる用途で、延べ面積500m²超(テニスコート2面分くらい)
- 木造で、高さ16m超、または4階以上
- 鉄筋コンクリート造・鉄骨造などで、延べ300m²超(高さ16m超・4階以上も一級)
- 構造に関係なく、延べ1,000m²超かつ2階以上
逆から見ると、この4つに当たらなければ二級でも設計できます。
- 木造2階建てのふつうの一戸建て → 二級でじゅうぶん。木造なら3階建て・高さ16mまでは二級の範囲
- 鉄筋コンクリート造で延べ400m²のビル → 300m²を超えるので一級
- 木造でも、1,000m²超の2階建ては一級
二級の範囲は令和7年4月に広がりました。それまでは高さ13m・軒の高さ9mが線だったので、古い参考書では数字がちがうことがあります。一級には上限がなく、超高層ビルでもスタジアムでも設計できます。
免許と受験資格
- 免許:一級は国土交通大臣、二級は都道府県知事の免許(二級でも全国で仕事はできる)
- 二級の受験資格:指定科目を修めて大学や高校などを卒業。学歴がなくても実務7年で受けられる
- 一級の受験資格:大学や高専などで指定科目を修めて卒業した人、または二級建築士。高校卒業だけでは一級は受けられない
令和2年からは、実務の経験は受験の前ではなく、免許の登録のときに見るしくみになりました。大学を出てすぐ一級を受けられ、受かったあと、大学卒なら実務2年、二級建築士から上がる人は二級として実務4年で、一級の免許を受けられます。合格と免許は別の手続きです。
② 試験の重さ
学科の試験
- 二級:4科目(計画・法規・構造・施工)各25問、合計100問。五肢択一。3時間×2回=6時間
- 一級:5科目(計画20・環境設備20・法規30・構造30・施工25)、合計125問。四肢択一。2時間・1時間45分・2時間45分=6時間30分
一級には環境・設備(空調・照明・音・熱)が独立して20問あり、法規と構造も25問→30問に増えます。1問あたりの時間は、二級が約3分36秒、一級が約3分7秒と、一級のほうが短くなります。一級は選択肢が4つと少ないかわりに、ひとつひとつの文が長く細かくなります。学科はどちらも法令集を持ち込め、令和8年からは製図でも使えるようになりました。
同じ分野でも、掘り下げの深さがちがう
令和8年の同じ年の問題で比べます(問題は要約)。
- 座屈:二級は、支え方が同じ5本の柱から、断面二次モーメントと長さの数字でいちばん強い柱を選ぶ。一級は、正方形の柱の断面積が2倍になると座屈荷重は16倍、という肢が誤り。一辺は√2倍、断面二次モーメントは一辺の4乗で4倍、座屈荷重も4倍。二級は「公式に数字を入れる」まで、一級は「公式の中のしくみ」まで
- 熱:二級は、屋根・外壁・窓・床の面積と熱貫流率から、平均を計算して約0.7。一級は計算がなく、外壁2つの中の温度のグラフから、材料の熱の伝えやすさや防湿層の位置を読む
- 構造計算:二級は、構造計算をしなくてよい建物を選ぶ(木造2階建て・延べ300m²・高さ7m。木造は300m²「超え」で必要)。一級は、限界耐力計算・保有水平耐力計算で何を確かめるか、柱の鉄筋の量や地震の力の係数まで
- 建物まるごと:二級は木造2階建て100m²の一戸建て。手すり12cmは10cmを超える2cmを幅から引くので階段の幅は74cm、住宅の階段75cm以上に足りない。一級は耐火構造・3階建て・2,000m²の共同住宅で、建築基準法・建築士法・消防法・品確法が並び、耐震等級2を「1.2倍」とした肢が誤り(正しくは1.25倍)
熱貫流率とは、内と外の温度差が1度のとき、壁1m²を通り抜ける熱の量のことです。二級の深さを掘ってから、その先を掘るのが一級です。
合格点
どちらも、科目ごとの最低点(足切り)と合計点の二重のチェックです。
- 二級:各科目13点・合計60点が原則。令和8年は計画だけ14点
- 一級:各科目は過半、合計はおおむね90点が目安。令和8年は11・11・16・16・13点、合計94点
合格点は毎年の難しさで動きます。
製図の試験
- 二級:令和8年は「商店街に建つ併用住宅(木造3階建て)」。縮尺1/100、床伏図兼小屋伏図や部分詳細図も描く。5時間
- 一級:令和8年は「ホテル」。縮尺1/200、建物全体の計画をまとめる。6時間30分
過去5年の課題も、二級は歯科診療所併用住宅・保育所・専用住宅・ゲストハウス・シェアハウス、一級は集合住宅・事務所ビル・図書館・大学・庁舎。設計できる範囲とぴったり重なります。採点はランクⅠ〜Ⅳの4段階で、合格はランクⅠだけです。
③ 合格率:一級は二級のおよそ半分
令和7年の合格率です。
- 二級:学科40.9%、製図46.4%、総合22.6%
- 一級:学科16.5%、製図35.0%、総合11.4%
40人のクラスなら、二級は9人、一級は4〜5人です。ただし学科の合格率は年によって大きく動き、令和8年の一級の学科は26.2%(受験者29,094人のうち7,619人合格)でした。二級の学科の合格者は6,829人です。
令和3〜7年の総合の合格率は、一級8.8〜11.4%、二級21.8〜25.0%。受ける人の顔ぶれも見ておく必要があり、令和7年の一級製図合格者の18.4%は二級建築士の資格で受けた人、令和8年の二級学科合格者の22.3%は学生でした。合格率は、試験の難しさだけでなく、受ける人のレベルでも変わります。
どっちから受ける?
決め手は2つです。
- 受験資格:高校卒業なら、まず二級から。大学で指定科目を修めたなら、いきなり一級も受けられる
- 仕事で設計する建物:木造の住宅が中心なら二級の範囲で収まることが多い。学校やビル、大きな施設に関わるなら一級が必要
二級の勉強は一級の土台にもなります。学科に受かると、その後の4回のうち2回は学科が免除されるのは、一級も二級も同じです。勉強時間は、国が出している数字がないので、ここでは扱いません。
まとめ
- 設計できる建物:一級は上限なし。二級は木造なら3階建て・高さ16mまで、RC造なら300m²までなど
- 試験の重さ:学科は二級100問・一級125問。製図は二級5時間・一級6時間30分
- 同じ分野でも、二級は「公式と数字」、一級は「しくみと組み合わせ」まで
- 合格率(令和7年総合):二級22.6%、一級11.4%
二級は「一級のかんたん版」ではなく、「身近な建物の専門の資格」です。自分の進みたい道に合わせて選べばいいのです。
出典
- 建築士法 第3条〜第4条・第14条・第15条|e-Gov法令検索
- 一級建築士試験(受験要領・合格基準点・設計製図の課題・試験結果)|建築技術教育普及センター
- 二級建築士試験(受験要領・合格基準点・設計製図の課題・試験結果)|建築技術教育普及センター
- 令和8年一級建築士試験「学科の試験」合格者決定|国土交通省
- 建築士法改正の概要|滋賀県
この記事は公表資料をもとにした個人の学習ノートです。問題文は要約しています。受験の前には、必ず最新の受験要領をご確認ください。


