【アニメ】ル・コルビュジエの8畳の城|海辺の小屋が語る建築家の一生(一級建築士 学科Ⅰ 建築史)
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20世紀を代表する建築家が夏をすごした家は、3.66m四方、畳にすると8枚分くらいでした。南フランスの海辺に建つ休暇小屋、カバノン(Cabanon)です。アニメではこの小屋が語り手になって、つくった人の一生を話します。その人こそ、学科Ⅰの建築史によく出るル・コルビュジエです。
アニメでも解説しています。

*写真:Joop van Bilsen / Nationaal Archief/CC0/Wikimedia Commons*
時計の町に生まれる(1887年)
- 1887年、スイスの山あいの時計づくりの町、ラ・ショー=ド=フォンに生まれる
- 本名はシャルル=エドゥアール・ジャンヌレ
- 父は時計の文字盤に色をつける職人
- 12歳で町の美術学校に入り、絵と彫刻を学ぶ(時計のケースの飾り彫りで知られた学校)
- 17歳のころ、先生に建築の道をすすめられ、20歳になる前にふるさとに最初の家を建てる
建築の大学ではなく、美術学校から建築に入った人です。
旅と、名前(1910年代〜1920年)
- 23歳で、ドイツ・ベルリンの有名な建築家の事務所に入るが、5か月でやめる
- 次の年、プラハからコンスタンティノープル、ギリシャのアテネまで、東へ向かう長い旅に出る(アテネではパルテノン神殿も見ている)
- 1917年、29歳でパリに住みはじめる
- 1920年、仲間と雑誌をつくり、建築の文章を書くときの名前として「ル・コルビュジエ」を名のる
- 1922年、のちの妻イヴォンヌと出会う
「ル・コルビュジエは生まれたときからの本名」は×です。
つまずき:国際連盟のコンペ(1927年)
1927年、スイスのジュネーブに建てる国際連盟の本部のコンペに、力をこめた案を出しました。コンペとは、設計案を出しあって、選ばれた案を建てるしくみのことです。でも、その案が建つことはありませんでした。それでも描くのをやめませんでした。
サヴォア邸と近代建築の五原則(1931年)
パリ郊外のサヴォア邸は1931年に完成しました。白い箱が細い柱で浮いているような家です。近代建築の五原則とは、ル・コルビュジエがまとめた、次の5つの要素のことです。
- ピロティ:建物を柱で持ち上げた足もとの空間
- 屋上庭園:屋上に庭
- 自由な平面:壁にしばられない間取り
- 水平連続窓:横に長くつづく窓
- 自由な立面:柱から離れて自由に決められる外の壁
柱で床を支えれば、壁はどこに置いてもよく、窓も横に長くできます。石を積んで壁で支える家が当たり前の時代でした。
令和8年の過去問
令和8年 学科Ⅰ No.3で、シュレーダー邸(リートフェルト)を「ピロティ・屋上庭園など5つの要素を取り入れた家」とした組合せが、最も不適当とされました。五原則はル・コルビュジエ、シュレーダー邸はオランダのデ・ステイルの家です。人と言葉を入れ替えるパターンです。
カバノン:妻のための城(1951年)
1951年、地中海の海辺の小さな食堂のとなりに、カバノンが建てられました。
- 木の部品はコルシカ島(アジャクシオ)で作って運んだ
- 天井の高さ2.26m、窓は70cm四方が2つ
- ベッドも机も作りつけ
- 寸法はモデュロール(人の体の大きさから割り出した寸法の物差し)で決めてある
- 本人は、この小屋を「妻のための3.66m×3.66mの城」と書き残している(財団の資料では床15m²)
大きな都市まで描いた人が、自分にはこの広さを選びました。
海辺での別れ(1957年・1965年)
毎年の夏、ふたりはこの小屋に来ました。1957年にイヴォンヌが亡くなったあとも、ひとりで夏ごとに来ています。1965年の夏、日課だった目の前の海での水泳中に、8月27日、心臓の発作で亡くなりました。77歳でした。パリでは国の葬儀が開かれ、この町のお墓に、イヴォンヌのとなりで眠っています。
いま:17の建物が世界遺産に(2016年)
- 2016年、7か国にまたがる17の建物が世界遺産に(2008年に初めて推薦してから8年)
- 日本からは、東京・上野の国立西洋美術館(1959年開館)。細かい図面は日本人の弟子3人、前川國男・坂倉準三・吉阪隆正が仕上げた
- 国立西洋美術館は平成28年の試験にも出ている。建物の下に免震の装置を入れ、昔の姿のまま地震に備えた免震レトロフィットの例
- カバノンも、その17の中に入っている
まとめ
- 1887年、スイスの時計の町に生まれる。美術学校から建築の道へ
- 1920年、雑誌に書くために「ル・コルビュジエ」を名のる
- 1931年、サヴォア邸。近代建築の五原則(ピロティ・屋上庭園・自由な平面・水平連続窓・自由な立面)
- 1951年、カバノン(3.66m四方の城)
- 1959年、国立西洋美術館。2016年に世界遺産
- 試験に出るのは、五原則・サヴォア邸・国立西洋美術館
出典
- Fondation Le Corbusier「Biographie」・「Cabanon de Le Corbusier, Roquebrune-Cap-Martin, France, 1951」
- 観光庁 多言語解説文データベース「世界遺産となった国立西洋美術館」
- 一級建築士試験 過去の試験問題等(令和8年・平成28年 学科Ⅰ)|建築技術教育普及センター
- 写真:Wikimedia Commons(作者とライセンスは写真の下に表記)
この記事は公表資料をもとにした個人の学習ノートです。年・数字は上の出典の範囲で紹介しています。小屋の広さは、財団の資料では床15m²、本人の言葉では3.66m四方です。問題文は要約したものです。


