一級建築士

【アニメ】ル・コルビュジエの8畳の城|海辺の小屋が語る建築家の一生(一級建築士 学科Ⅰ 建築史)

【アニメ】ル・コルビュジエの8畳の城|海辺の小屋が語る建築家の一生(一級建築士 学科Ⅰ 建築史)

20世紀を代表する建築家が夏をすごした家は、3.66m四方、畳にすると8枚分くらいでした。南フランスの海辺に建つ休暇小屋、カバノン(Cabanon)です。アニメではこの小屋が語り手になって、つくった人の一生を話します。その人こそ、学科Ⅰの建築史によく出るル・コルビュジエです。

アニメでも解説しています。

ル・コルビュジエ(1964年)

*写真:Joop van Bilsen / Nationaal Archief/CC0/Wikimedia Commons*

時計の町に生まれる(1887年)

  • 1887年、スイスの山あいの時計づくりの町、ラ・ショー=ド=フォンに生まれる
  • 本名はシャルル=エドゥアール・ジャンヌレ
  • 父は時計の文字盤に色をつける職人
  • 12歳で町の美術学校に入り、絵と彫刻を学ぶ(時計のケースの飾り彫りで知られた学校)
  • 17歳のころ、先生に建築の道をすすめられ、20歳になる前にふるさとに最初の家を建てる

建築の大学ではなく、美術学校から建築に入った人です。

旅と、名前(1910年代〜1920年)

  • 23歳で、ドイツ・ベルリンの有名な建築家の事務所に入るが、5か月でやめる
  • 次の年、プラハからコンスタンティノープル、ギリシャのアテネまで、東へ向かう長い旅に出る(アテネではパルテノン神殿も見ている)
  • 1917年、29歳でパリに住みはじめる
  • 1920年、仲間と雑誌をつくり、建築の文章を書くときの名前として「ル・コルビュジエ」を名のる
  • 1922年、のちの妻イヴォンヌと出会う

「ル・コルビュジエは生まれたときからの本名」は×です。

つまずき:国際連盟のコンペ(1927年)

1927年、スイスのジュネーブに建てる国際連盟の本部のコンペに、力をこめた案を出しました。コンペとは、設計案を出しあって、選ばれた案を建てるしくみのことです。でも、その案が建つことはありませんでした。それでも描くのをやめませんでした。

サヴォア邸と近代建築の五原則(1931年)

パリ郊外のサヴォア邸は1931年に完成しました。白い箱が細い柱で浮いているような家です。近代建築の五原則とは、ル・コルビュジエがまとめた、次の5つの要素のことです。

  1. ピロティ:建物を柱で持ち上げた足もとの空間
  2. 屋上庭園:屋上に庭
  3. 自由な平面:壁にしばられない間取り
  4. 水平連続窓:横に長くつづく窓
  5. 自由な立面:柱から離れて自由に決められる外の壁

柱で床を支えれば、壁はどこに置いてもよく、窓も横に長くできます。石を積んで壁で支える家が当たり前の時代でした。

令和8年の過去問

令和8年 学科Ⅰ No.3で、シュレーダー邸(リートフェルト)を「ピロティ・屋上庭園など5つの要素を取り入れた家」とした組合せが、最も不適当とされました。五原則はル・コルビュジエ、シュレーダー邸はオランダのデ・ステイルの家です。人と言葉を入れ替えるパターンです。

カバノン:妻のための城(1951年)

1951年、地中海の海辺の小さな食堂のとなりに、カバノンが建てられました。

  • 木の部品はコルシカ島(アジャクシオ)で作って運んだ
  • 天井の高さ2.26m、窓は70cm四方が2つ
  • ベッドも机も作りつけ
  • 寸法はモデュロール(人の体の大きさから割り出した寸法の物差し)で決めてある
  • 本人は、この小屋を「妻のための3.66m×3.66mの城」と書き残している(財団の資料では床15m²)

大きな都市まで描いた人が、自分にはこの広さを選びました。

海辺での別れ(1957年・1965年)

毎年の夏、ふたりはこの小屋に来ました。1957年にイヴォンヌが亡くなったあとも、ひとりで夏ごとに来ています。1965年の夏、日課だった目の前の海での水泳中に、8月27日、心臓の発作で亡くなりました。77歳でした。パリでは国の葬儀が開かれ、この町のお墓に、イヴォンヌのとなりで眠っています。

いま:17の建物が世界遺産に(2016年)

  • 2016年、7か国にまたがる17の建物が世界遺産に(2008年に初めて推薦してから8年)
  • 日本からは、東京・上野の国立西洋美術館(1959年開館)。細かい図面は日本人の弟子3人、前川國男・坂倉準三・吉阪隆正が仕上げた
  • 国立西洋美術館は平成28年の試験にも出ている。建物の下に免震の装置を入れ、昔の姿のまま地震に備えた免震レトロフィットの例
  • カバノンも、その17の中に入っている

まとめ

  • 1887年、スイスの時計の町に生まれる。美術学校から建築の道へ
  • 1920年、雑誌に書くために「ル・コルビュジエ」を名のる
  • 1931年、サヴォア邸。近代建築の五原則(ピロティ・屋上庭園・自由な平面・水平連続窓・自由な立面)
  • 1951年、カバノン(3.66m四方の城)
  • 1959年、国立西洋美術館。2016年に世界遺産
  • 試験に出るのは、五原則・サヴォア邸・国立西洋美術館

出典

この記事は公表資料をもとにした個人の学習ノートです。年・数字は上の出典の範囲で紹介しています。小屋の広さは、財団の資料では床15m²、本人の言葉では3.66m四方です。問題文は要約したものです。